
この記事の要約
みやこでITは、AIショート動画を企業PRに活用する実践講座を開催し、約20名が参加しました。講座では、破綻しにくい題材選び、プロンプト設計、生成結果の改善、編集までを扱い、最後にNetsujo株式会社の紹介PVを作る工程を共有しました。
みやこでITでは、生成AIを使ったショート動画を、企業や店舗のPRに活用するための実践講座を開催しました。
当日は、生成AIや動画制作に関心を持つ約20名が参加しました。
講師は、京都市でフリーランスのWebデザイナーとして活動するmakiさんです。AIで動画をつくる講座としては、前回の「AIで動画をつくる技術入門」開催レポートに続く2回目で、今回はより実践的な内容を扱いました。
今回のテーマは、AIで映像を生成すること自体ではありません。
AI動画を企業のSNSや広報活動で使える品質まで整えるには、どのように企画し、生成し、改善すればよいのか。講座では、動画生成AIを使った題材選び、プロンプト設計、生成結果の確認、編集、投稿までの流れを扱いました。
最後には、Netsujo株式会社の紹介PVを題材に、企業紹介動画を作る工程を共有して講座を締めくくりました。
開催概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| イベント名 | AIで動画をつくる技術入門(2回目、実践的な感じで) |
| 開催日 | 2026年6月30日(火)19:00〜21:00 |
| 開催形式 | オンライン |
| 講師 | makiさん(京都市・フリーランスWebデザイナー) |
| 参加者数 | 約20名 |
| テーマ | AIショート動画を企業PRで使える品質まで整える |
| 主催 | みやこでIT(Netsujo株式会社) |
イベントの詳細は、connpassのイベントページをご覧ください。
AI動画生成で重要なのは「何を作るか」
AI動画生成では、プロンプトの書き方や新しいツールの操作方法に注目が集まりがちです。
しかし、企業PRで使える動画を作るうえで、最初に考えるべきなのはツールではなく、動画の題材と目的です。
講座では、比較的安定して生成しやすい題材として、次の例を取り上げました。
- 商品のクローズアップ
- 店舗や施設の雰囲気
- 季節感のある演出
- サービス利用後のイメージ
- 採用や職場紹介に使える空間表現
一方で、複数人の複雑な会話、細かな手作業、正確な文字やロゴ、激しい動きなどは、生成結果が崩れやすい傾向があります。
最初から難しい映像を作ろうとせず、AIが得意な表現に企画を置き換えることが、制作時間と失敗を減らすポイントです。
企業PR動画のプロンプトを設計する
「おしゃれな動画を作って」といった抽象的な指示だけでは、企業PRに使える映像にはなりにくい場合があります。
講座では、プロンプトを次の要素に分解して考えました。
主役
商品、店舗、空間、サービス利用後の状態など、動画の中心となる対象を一つに絞ります。
背景
カフェ、オフィス、屋外、季節、時間帯など、映像の状況を指定します。
動き
「湯気が立つ」「光が反射する」「カメラがゆっくり近づく」など、少数の具体的な動きを指定します。
カメラ
固定、ズーム、横移動、俯瞰など、見せ方を明確にします。
雰囲気
明るい、落ち着いている、信頼感がある、温かみがあるなど、映像全体の方向性を伝えます。
禁止事項
人物の顔、文字、ロゴ、余計な物体、商品の形状変化など、生成してほしくない要素も明示します。
条件を長文で詰め込むのではなく、役割ごとに指示を分解すると、生成結果を確認しながら修正しやすくなります。
生成結果を「完成品」と考えない
AIが生成した映像は、そのままSNSへ投稿できる完成品とは限りません。
講座では、生成結果を確認する際の基準として、次の項目を紹介しました。
- 商品や主役の形が途中で変わっていないか
- 手や顔などに不自然な箇所がないか
- 文字やロゴのような崩れた表示がないか
- カメラの動きが速すぎないか
- SNSで見たときに冒頭数秒で内容が伝わるか
- 編集でテロップを入れる余白があるか
問題がある場合も、必ずしも映像全体を作り直す必要はありません。
プロンプトを修正して再生成する、使える部分だけを切り出す、編集で文字や音楽を追加するなど、用途に応じて判断します。
AI動画制作では、生成する力だけでなく、使える素材を見極める力が必要です。商品PR・店舗紹介・採用動画への応用
企業がSNSで活用しやすい代表的な動画パターンとして、次の例を扱いました。
商品PR
商品の登場、質感、利用場面を短い尺で見せます。
形状を正確に見せる必要がある場合は、実際の商品画像と生成映像を組み合わせる方法も考えられます。
店舗・施設紹介
外観、内装、空間の雰囲気、利用後のイメージをつなぎ、来店や予約のきっかけを作ります。
採用PR
人物の顔だけに依存せず、オフィスの明るさ、働く空間、職場の空気感などを表現します。
季節キャンペーン
季節感のある演出と商品やサービスを組み合わせ、SNSへ投稿する理由を作ります。
実在企業の映像をそのまま模倣するのではなく、業種ごとの構成や見せ方を参考にし、自社向けに置き換えることが重要です。
約20名が参加した講座内ワーク
講座内では、自社または架空の企業・サービスを題材に、PR動画の企画を考えるワークを行いました。
主に次の項目を整理しました。
1. PRしたい商品やサービス
2. 動画を見てほしい相手
3. 動画で最も伝えたいこと
4. 映像の主役と背景
5. 動きとカメラワーク
6. AIに生成させない要素
7. 編集で追加する文字や音楽
8. 投稿先と動画の長さ
AI動画を作り始める前にこれらを整理することで、生成結果に振り回されにくくなります。
Netsujo株式会社の紹介PV制作工程を共有
講座の最後には、Netsujo株式会社の紹介PVを作る工程を共有しました。
企業紹介PVの制作工程を、次の流れで整理しました。
1. 動画の目的とターゲットを決める
2. 会社の特徴から、映像で見せる要素を選ぶ
3. シーンごとにプロンプトを設計する
4. AIで複数の映像素材を生成する
5. 使える素材を選び、必要に応じて再生成する
6. 動画編集ソフトで素材をつなぐ
7. テロップ、BGM、会社情報、CTAを追加する
8. SNS上での見え方を最終確認する
AIに会社紹介をすべて任せるのではなく、企業側が伝えたい内容を整理し、AIを映像素材の制作手段として使うことがポイントです。
今回の工程共有を通じて、企画、生成、改善、編集を分けて考える重要性を確認しました。
この記事で扱うのは、2026年6月30日の講座で共有した内容だけです。 これ以降に別途制作した動画は、この講座の成果には含めていません。自社題材を扱った工程共有であり、外部のお客さまへの納品実績でもありません。生成した素材を採るか、捨てるか
以下は、講座で扱った確認項目を編集部が判断表の形へ整理した練習用の例です。講座で配布した資料ではありません。観察したことと、そのときに取る操作を対応させておく目的は、同じ素材を前にしたときに同じ判断を再現できるようにすることです。
| 生成結果で観察したこと | 判断 | 次に取る操作 |
|---|---|---|
| 主役の形が途中で変わる | 不採用 | 主役を1つに絞り、動きの指定を減らして再生成する |
| 手・顔に不自然な箇所がある | 部分採用 | その人物が映らない秒数だけを切り出す |
| 文字やロゴが崩れている | 崩れた文字は使用しない | 崩れた文字が映る区間は差し替える。生成側では文字を出さない指定にし、確認済みのテキストを編集でテロップとして入れる |
| カメラの動きが速すぎる | 部分採用 | 動きの少ない区間を選び、必要なら速度を落とす |
| 冒頭数秒で内容が伝わらない | 構成をやり直す | 主役が最初に映る素材を選び直す |
| テロップを入れる余白がない | 部分採用 | 引きの構図で再生成するか、上下に余白を足す |
30分で試す練習案
以下は、講座の内容を持ち帰るときの編集部による練習案です。6月30日の講座で実施した手順でも、講座で配布した資料でもありません。いきなり企業PVを作らず、1本だけ通してみるための構成として置いています。記載の所要時間は目安で、生成の待ち時間は利用するサービスや混雑状況によって変わります。
| 時間 | やること | 進める条件 |
|---|---|---|
| 0〜5分 | 題材を1つ決める(商品のクローズアップ、空間の雰囲気、季節演出のいずれか) | 複数人の会話・細かな手作業・正確な文字が必要なものは、この回では選ばない |
| 5〜10分 | 主役・背景・動き・カメラ・雰囲気・禁止事項の6項目を書き出す | 6項目が1行ずつ埋まっていること。長文にしない |
| 10〜20分 | 生成し、上の採否表で1本ずつ判定する | 停止条件の例: 3本生成して0本採用なら、題材を替えて戻る |
| 20〜28分 | 採用した区間をつなぎ、テロップ・会社情報・導線を編集で足す | 会社名・価格・ロゴは生成物ではなく編集で載せる |
| 28〜30分 | 投稿先の画面比率で冒頭3秒を確認する | 冒頭3秒で何の動画か分からなければ、素材選びからやり直す |
表中の「3本」は停止条件として置いた例で、講座で3本生成して0本採用になったという記録ではありません。持ち帰るものは、完成した動画ではなく次の3つです。6項目のプロンプト設計メモ、採否の判定結果、作り直しになった条件。 この3つを残す目的は、次に同じ題材を扱うときに自分の判断を再現できるようにすることです。生成回数や制作時間がどう変わるかは測定していません。
本記事に掲載していないもの
本記事には、講座で生成した映像そのもの、入力に使ったプロンプトの原文、修正前後の比較画面といった制作物を掲載していません。 掲載していないことは、それらが存在しないことを意味しません。受講者がその後どのような制作を行い、どこで使ったかについても、本記事では確認していません。講座を開催した事実から、受講者の業務利用や成果を推定することはしません。
企業がAI動画を利用するときの注意点
企業PRでAI動画を使う場合、見た目の完成度だけでなく、利用条件や権利関係も確認する必要があります。
特に確認したい項目は次のとおりです。
- 動画生成サービスの商用利用条件
- 生成物に付与されるウォーターマーク
- 入力する画像や素材の権利
- 実在する人物や著名人に似た表現
- 他社のロゴやキャラクター
- AIが生成した文字、価格、会社情報の誤り
- SNS広告として利用する場合の媒体規約
文字、価格、会社名、ロゴなど、正確性が必要な情報はAIに直接生成させず、編集工程で追加するほうが安全です。
AI動画を「作って終わり」にしない
今回の講座では、AI動画生成ツールの操作だけでなく、企業PRとして使うための一連の工程を扱いました。
- 目的に合った題材を選ぶ
- 破綻しにくい構成を考える
- プロンプトを具体化する
- 生成結果を確認して改善する
- 編集で情報と導線を追加する
- SNSへ投稿した後の反応を確認する
AIによって動画制作のハードルは下がっています。
一方で、企業として何を伝えるのか、誰に届けるのかを決める部分は、人が担う必要があります。
みやこでITでは、今後もAI、Web、デザイン、地域DXなどをテーマに、実際の仕事や活動へ持ち帰れる勉強会・交流会を開催していきます。次回以降のイベントはみやこでITのイベント一覧で公開しています。
ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました。
よくある質問
AI動画生成だけで企業PR動画は完成しますか?
多くの場合、生成した映像だけでは完成しません。テロップ、BGM、ロゴ、会社情報、問い合わせ導線などを編集工程で追加する必要があります。
企業PRでは、どのようなAI動画が作りやすいですか?
商品のクローズアップ、店舗や施設の雰囲気、季節演出、サービス利用後のイメージなどは、比較的設計しやすい題材です。
AI動画に会社名やロゴを入れても問題ありませんか?
AIが生成する文字やロゴは崩れる場合があります。正確性が必要な会社名やロゴは、生成後の編集工程で追加する方法が適しています。
AI動画は商用利用できますか?
商用利用の可否は、利用するサービスの規約や契約プランによって異なります。制作時点の利用規約、素材の権利、広告媒体の規約を確認する必要があります。
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