
はじめに限界も書いておきます。GA4で分かるのは「どんな行動が、どれだけ起きたか」までです。「この記事を読んだからイベントに来た」という因果までは計測できません。以下は、集めた数字を運営の判断材料にしている、という範囲の話として読んでください。
「みやこでIT」は京都で7年、163回の開催を重ね、connpass登録メンバーは612名になりました。この規模の運営を少人数で続けています。だからこそ「どこに手をかけると効くか」を感覚ではなく計測で確かめたい、というのが計測環境をつくった動機です。
何を測ると運営判断に効くか
まず、測る対象を運営で見たい行動から逆算して4つに絞りました。イベント運営で本当に見たいのは、滞在時間そのものより「イベントや仲間づくりに一歩踏み出したか」だからです。
| 測る対象 | GA4で送るイベント | 何の判断材料にするか |
|---|---|---|
| connpassへの送客クリック | connpass_click | どの記事・どの場所からイベント告知に人が向かうか |
| Discordの参加導線 | outbound_link_click | 記事の文脈からコミュニティに入る導線が使われているか |
| 記事の表示 | blog_view | どの記事が実際に開かれているか |
| スクロールと読了 | scroll_depth_75 / read_complete | 記事が最後まで読まれているか、途中で離れているか |
数字を集めること自体が目的ではありません。「告知に人が向かっていない記事はどれか」「最後まで読まれていない記事はどれか」を見つけ、次に手を入れる記事を選ぶ材料にしています。
connpassへの送客を測る
イベント告知への送客は、TrackedExternalLinkというコンポーネントで測っています。これは外部リンクをGA4計測付きでラップする部品で、variantに"connpass"を指定するとクリック時にconnpass_clickイベントを送ります。通常の外部リンク(variantが"outbound")ならoutbound_link_clickを送る、という使い分けです。
このコンポーネントにはsourceというラベルを渡せるようにしていて、「hero」「events_card」「footer」のように配置場所を区別しています。同じconnpassへのリンクでも、記事本文からのクリックとイベントカードからのクリックを分けて数えられるため、「どの置き場所が送客に効いているか」を後から見分けられます。
イベントの告知そのものはconnpassで出しています。開催予定は「みやこでIT」のconnpassで確認できます。運営としては、この送客クリックが伸びない記事があれば、告知リンクの置き場所や見出しを見直す、という順番で手を入れています。
Discordの参加導線を測る
記事の文脈のなかからコミュニティに入る導線は、DiscordInlineCTAというコンポーネントで測っています。これは初参加ページやイベントページ、FAQの末尾などに差し込む横長の招待カードで、「Discordに参加する」ボタンのクリック時にoutbound_link_clickを送ります。
このカードにも配置を示すsourceラベルを渡しているので、どのページからDiscord参加が押されているかを区別できます。connpassが「イベントに申し込む」入口だとすれば、Discordは「イベントの前後もゆるくつながる」入口です。両方の導線を別々に数えることで、記事の読者が次にどちらへ動いているかを運営の判断材料にしています。
記事が読まれたかを測る
記事が開かれ、どこまで読まれたかは、2つのコンポーネントで分けて測っています。表示の計測がBlogViewTracker、読み進みの計測がScrollTrackerです。
BlogViewTrackerは記事ページが表示された時点でblog_viewを1回だけ送ります。これで「どの記事が実際に開かれているか」が分かります。
ScrollTrackerはスクロールの深さを監視し、ページの75%まで読み進めた時点でscroll_depth_75を、ほぼ末尾(ページの98%)に到達した時点でread_completeを、それぞれ1回だけ送ります。表示は多いのに読了までは届いていない記事は、冒頭で結論が伝わっていない可能性があります。表示と読了の差を見て、リード文や見出しの構成を見直す材料にしています。ただし短いページはスクロール計測の対象から外しているため、すべての記事で同じように読了率が取れるわけではない点は付け加えておきます。
集めた数字を、運営でどう使うか
ここまでの計測は、行動の数を数えるところまでで、その先の因果までは示しません。「connpassクリックが増えた月に参加者が増えた」としても、記事の計測だけを根拠にそれを結び付けることはできません。あくまで「どの記事・どの導線に人が向かっているか」を確かめ、次に厚くする記事を選ぶための材料として使っています。
たとえば、記事を積み上げてきた半年で検索からの来訪がどう動いたかは、オウンドメディア半年の運営記に、実際のデータと限界の両方を書いています。あわせて、これまでの開催実績やメンバー数といったコミュニティの数字はコミュニティの実績ページにまとめています。計測から見えた仮説を、こうした公開データと突き合わせながら運営を調整しています。
まとめ
ITコミュニティのサイト計測は、凝った指標をそろえることより、「運営として動かしたい行動」を先に決め、それに対応するイベントだけを素直に測ることから始めると扱いやすくなります。「みやこでIT」の場合はそれが、connpassへの送客、Discordの参加導線、記事の表示と読了の4つでした。
そして、計測はあくまで運営を良くするための道具で、主役は実際に集まる場のほうです。京都でITに関わる仲間を増やしたい方は、開催予定を「みやこでIT」のconnpassからのぞいてみてください。
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