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地方ITコミュニティ運営の教訓|京都162回・639名で見えた継続のコツ【2026年版】

公開日:
最終更新日:
飯田 友広
地方ITエンジニアコミュニティ京都もくもく会運営ノウハウTEMPLEモデル
地方ITコミュニティ運営の教訓|京都162回・639名で見えた継続のコツ【2026年版】

この記事の要点(30秒で読める)

- 結論: この記事は、京都の地方ITコミュニティが2019年から2026年までにたどった経過の記録です

- 5つの局面で変わってきました: ①立ち上げ(2019)→②オンライン化(2020-21)→③場所による差別化(2021-23)→④制度化(2024-25)→⑤外への接続(2026)

- 地方の不利は「密度」、強みは「文脈」。場所と体験が差別化になった局面があります

- 効いたことも効かなかったことも書いています。同じ順序でうまくいくとは限りません

- 観点の定義(TEMPLEモデル)は正本記事へ集約しました

地方でITエンジニアコミュニティを始めて7年。開催済み162回、connpass登録メンバーは2人から639名になりました。

この記事では、その過程で何が効いて、何が効かなかったかを整理します。これから地方でコミュニティを立ち上げたい人、運営を続けている人の参考になります。

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なぜ京都でITコミュニティを始めたのか

2019年当時の京都には、ITエンジニア同士が気軽に集まれる場がほぼありませんでした。

  • IT勉強会が少ない
  • エンジニア同士の接点が企業内に閉じている
  • 東京や大阪との情報格差がある

人はいるのに、接続されていない。この状態を変えるために必要だったのは、プラットフォーム(場)、継続的な接触機会、心理的ハードルの低さの3つでした。

正直に言えば、「大阪に出かけるのが億劫になってきたから、京都にないなら作ってしまえ」という軽い動機で始めています。

7年間の推移

Phase1:立ち上げ(2019)
  • 月1回のもくもく会
  • 夏頃から、「G検定合格講座」をシリーズで実施。これを機に大切な仲間たちと出会う。
  • 仮説:ニーズはある!
→ 検証フェーズでした。 Phase2:拡張(2020-2021)
  • コロナ禍でオンライン化
  • 京都外からの参加者が増加
  • ハイブリッド開催開始
→ 地理的制約が消えると参加者は増える?ことが分かりました。 Phase3:差別化(2021-2023)
  • 寺・町家での開催
  • ブロックチェーン分野の取り組み
  • 国際交流(韓国コミュニティ)
  • HACK+最優秀賞
→ 「場所 × 体験」による差別化が成立しました。 Phase4:制度化(2024-2025)
  • KOINでの定期開催
  • 佛現寺(京都市中京区・六角油小路)を2024年4月から継続利用
  • Netsujo事業として統合
  • 企業連携の強化
→ コミュニティの基盤を強化しました。 Phase5:外への接続(2026) → 会場を借りる側から、地域の企画へ関わる側へ役割が広がりつつあります。ここが定着するかはまだ分かりません。

この経過をどう整理したか(TEMPLEモデル)

7年の運営を振り返るときに使っている観点が、Theme(テーマ)/Environment(環境)/Members(メンバー)/Persistence(継続)/Local(地元性)/Evolution(進化)の6つです。頭文字をとってTEMPLEモデルと呼んでいます。

6つの定義と、観点ごとの確認する指標はTEMPLEモデル|社内・地域コミュニティ設計の6つの観点に集約しました。ここでは繰り返さず、この記事では京都の実際の経過だけを扱います。

上のPhase1からPhase5を観点にあてはめると、次のように読めます。当てはめれば同じ結果になるという意味ではなく、後から振り返って説明できたという意味です。

局面強く働いた観点実際に起きたこと
2019年・立ち上げTheme/Persistence月1回のもくもく会と、シリーズ開催で最初の仲間ができた
2020〜2021年・オンライン化Environment地理的制約が外れ、京都外からの参加が増えた
2021〜2023年・差別化Environment/Local寺・町家での開催、国際交流、HACK+2023最優秀賞
2024〜2025年・制度化Members/PersistenceKOINでの定期開催、佛現寺の継続利用、企業連携
2026年・外への接続Local/Evolution行政施設での開催、ハッカソン協賛、白書公開

効かなかったことも書いておきます。参加人数を目標値として置いた時期は、人数が届かない回を失敗と感じて主催者側が消耗しました。テーマを広げて母数を取りにいった回は、初参加者が何を持ち帰れるか判断できず、リピートにつながりませんでした。いずれも数字で検証したわけではなく、運営側の観察です。

現時点の課題(避けずに整理します)

  • 地域企業ITエンジニアの巻き込みが弱い
  • コミュニティから案件への導線が弱い
  • 運営中核メンバーの分散が不十分(属人性が残っている)

地方でITコミュニティを始めたい人へ(現実ベースで整理します)

地方でITコミュニティを始めること自体は、そこまで難しくありません。本当に難しいのは「1年後も存在していること」です。

1.まずはconnpassなどで"存在"を作ります

最初にやるべきことは完璧な企画を作ることではありません。「この地域に、このテーマのコミュニティが存在する」と外から認識できる状態を作ることです。

重要なのは、イベント情報が継続的に見える場所を作ること。知名度がないことよりも、「やっているのか、やっていないのか分からない状態」の方が致命的です。

2.会場は"続けられる場所"を選びます

地方では、会場がブランドになることがあります。いつもの場所があることで、参加者にとっての心理的な拠点になります。

会場選びで見るべきなのは、駅から無理なく来られるか、参加費を高くしなくて済むか、主催者が心理的に負担なく借り続けられるか、少人数でも成立するか、です。

3.最初のイベントは、気合を入れず"もくもく会"で始めます

もくもく会はシンプルです。極論、場所と時間だけ決めれば成立します。母数が少なく新規流入が限られている地方では、この「負荷の低さ」が極めて重要です。

4.最初の参加人数は気にしすぎないことが重要です

3人でもちゃんと会話があり、また来たいと思えるなら十分です。地方では1回の参加者数よりも、同じ人が2回、3回と来てくれるかの方がずっと重要です。

5.月1回を"絶対に守る基準"として決めます

コミュニティにおける信頼とは「来月もやっているだろう」という予測可能性です。月1回でよいので、止めないこと。

6. SNS発信は"信頼形成の装置"として活用します

参加を迷っている人は、いきなり申し込みをしません。過去の投稿を見て、「どんな人が来ているのか」「初心者でも大丈夫か」を見ています。SNSは宣伝媒体というより、信頼形成の装置です。

7.本当に重要なのは、10回・30回・100回の壁を越えられるかです

10回続けると、ようやく「たまたまではない」と見なされます。30回続けると、地域の中で一定の存在として認識され始めます。100回を超える頃には、信用そのものが資産になります。

まとめ

7年やってみて、地方コミュニティで効いたと考えているのは次の3つです。

  • 新規を集め続けるより、一度来た人が2回目に来る設計へ時間を使う
  • 月1回を止めない。予測できることが信頼になる
  • 場所と地域の文脈を、テーマに接続する

京都のお寺でコードを書く体験は、京都という文脈があって成立しています。同じ形をほかの地域へ持っていけば同じ結果になる、とは考えていません。その地域にある資産へ合わせて組み替える前提で読んでください。

一度見に来てください

読むより1回参加する方が早いことがあります。開催予定はイベントページで公開しています。初めての方は初めての方へで当日の流れを確認できます。会場提供や共催に関心がある方は連携・協賛をご覧ください。

📚この連載:TEMPLEモデル研究

連載一覧

7年162回の運営から抽出したTEMPLEモデル(Theme/Environment/Members/Persistence/Local/Evolution)の各柱を深掘りする連載。

🏷️このカテゴリ:TEMPLEモデル

カテゴリ一覧

コミュニティ運営フレームワークTEMPLEモデルの理論と実践。

✍️この著者:飯田 友広

著者ページ

京都を拠点にIT人材・企業・大学・地域をつなぐ京都のITコミュニティ「みやこでIT」を主宰。7年162回の運営からTEMPLEモデルを抽出し、地域コミュニティの実装可能性を研究しています。

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