
2026年5月30日、京都府庁旧議場で開いた「みやこでIT」のAIエージェント実践LT会には約30人が参加し、SNS運用、ローカルLLM、マルチエージェント、資料作成などの実践例が共有されました。テーマが多岐にわたる場では、聞き手が「その結果は何を示し、自分でも試せるか」を判断できる情報が必要になります。
発表で成功画面だけを見せても、入力や条件が分からなければ同じ結果を確かめられません。そこで一つの題材として、Netsujoの公開OSS Agent Role Contractsにある実装済みのスターターデモを選び、LTでどう証拠を示すかを組み立てます。このデモを5月30日の登壇者が披露したという意味ではありません。以下は公開ソースと過去CIに基づく編集上の再構成で、新たに本稿のために実行したデモではありません。
なぜこのデモを選んだか
秘密のプロンプトや有料環境がないと動かない題材は、短いLTで見た目は派手でも、聞き手が後で確かめにくい問題があります。今回のスターターは、固定されたJSON入力と決定論的な検査器を公開し、成功だけでなく意図した失敗を含む点が適しています。大きなAIエージェントを本番稼働させる動画ではなく、実行前に宣言の矛盾を捕まえる部分だけを見せるデモです。
2026年10月15日の固定ソースでは、実装役に`src/**`への書込権限を宣言し、レビュー役をread-onlyと宣言します。そこへタスクの書込先だけを変えて渡すと、どう判定すべきかがコードに書かれています。スライド1枚に載せる再現メモ
| 欄 | この公開デモで示せる内容 |
|---|---|
| 問い | 書込範囲を宣言したタスクに矛盾する依頼が来たとき、実行前に検知できるか |
| 版・環境 | ソース`966e3c2`、Node.js 22.5以降。Gitとnpmで入手し、デモ本体はオフライン |
| 入力① | `src/example.mjs`、許可範囲`src/` |
| 入力② | `secrets/production.txt`、許可範囲`src/` |
| 入力③ | タスクのscopeを`src/example.mjs`に修正 |
| ソースの期待結果 | ①`PASS` → ②`TASK_WRITE_SCOPE_OUTSIDE_AUTHORITY` → ③`PASS` |
| 結果の根拠 | デモ本体、入力JSON、Quick Start |
| 限界 | 今回の最新版コマンド実行ログではない。OSでのファイル書込拒否、実エージェント実行、本人認証は検査していない |
再現する場合は、GitとNode.js 22.5以降を用意して次を実行します。
```sh
git clone https://github.com/suirindo/agent-role-contracts.git
npm --prefix agent-role-contracts run demo --silent
```
このコマンドは実行する時点のリポジトリ既定ブランチを取得します。上表の`966e3c2`と厳密に一致させる場合は、clone後に同コミットをcheckoutしてからデモを実行してください。READMEの`PASS → FAIL (expected) → PASS`は期待出力であり、本稿が今回実測した出力ではありません。
失敗例を見せると、むしろ何を検査しているかが分かる
ここでの失敗はデモの事故ではありません。許可が`src/**`なのに依頼が`secrets/production.txt`なら、`TASK_WRITE_SCOPE_OUTSIDE_AUTHORITY`を返すのが正しい挙動です。元の範囲に修正すれば再びPASSする。つまり「何でもPASSする」プログラムではないことを、入力を対にして説明できます。
公開された別時点の実行証拠もあります。2026年9月30日のGitHub ActionsのUbuntu/Node 24ジョブログでは、範囲外タスクを拒否するスターターテストが成功し、そのジョブで198テスト成功・失敗0が記録されています。ただし当時のコミットの結果であり、上表に示した10月15日のソースを同条件で再実行した証拠ではありません。
また、スターターのCLIでは不正なタスクは終了コード1を返しますが、自動デモ全体では「想定した失敗を正しく検知できた」場合に終了コード0となる設計です。発表で終了コード0だけを示すと、どの検査が成功したか誤解されます。
そのデモが示さないことも一緒に話す
このデモが照合するのは権限とタスクの宣言です。対象のファイルは実際には書き換えられません。OS側で書込を阻止できること、エージェントが宣言を守ること、レビュアーが本人で独立していることは別の検証対象です。「AIエージェントの安全が証明できた」と言えば、入力と検査の範囲を飛び越えます。
LTの短い時間なら、入力と期待結果を表に載せ、当日実行した場合は実際の端末・日時・コミット・標準出力・終了コードを記録して上書きする。ライブ実行しなかったなら「公開コード上の期待結果」と明記して提示する。この線引きなら、聞き手は後から再現し、結果が異なれば比較できます。
一般的な登壇準備は初めてのLTガイドに任せ、ここではAIデモの根拠を一枚へ縮める方法に絞りました。発表の機会はイベント一覧で確認できます。募集の有無は各回によって異なります。
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