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AIエージェント運用から生まれたOSSを公開

役割・権限・レビュー分離・作業範囲・引き継ぎを、実行前に確認する小さなチェッカー

公開日:
飯飯田 友広
AIエージェントOSSGitHubnpm開発コミュニティ
ROLE・SCOPE・REVIEW・HANDOFFのブロックとnpmコマンドを示したAgent Role Contracts v0.1.0のアイキャッチ

みやこでITでAIエージェントの話をすると、モデル名やプロンプトだけでは終わりません。実際の仕事へ入れたとき、誰が実装を持つのか、どこまで変更してよいのか、レビューを誰に任せるのか、といった運用の話がすぐに出てきます。

Netsujoでは、その運用で繰り返し必要になった宣言チェックの一部を Agent Role Contracts v0.1.0 として切り出し、MITライセンスで公開しました。

何を確認するツールか

複数のAIへ仕事を渡す前に、チームとTaskの宣言に矛盾がないかを確認します。

対象になるのは、例えば次のような項目です。

  • roleとauthority
  • 実装者とreviewerの分離
  • task typeの明示的なroute
  • Taskが要求するwrite scope
  • role間のhandoff

具体例を一つ挙げます。

```text

implementer

write: src/**

reviewer

read-only

```

この状態でimplementerへ `secrets/production.txt` の変更を要求するTaskを渡すと、宣言した範囲の外なので拒否します。

ここで実際のfilesystem permissionを書き換えているわけではありません。仕事を開始する前の段階で、今回頼もうとしていることと、あらかじめ決めた権限の範囲が一致しているかを見ています。

こんな場面で使えます

実装とレビューを別のAIに任せる

例えば、Claude Codeをimplementer、Codexをreviewerとして使う場合でも、契約側では製品名よりroleを先に定義できます。

```text

implementer -> write_scoped

reviewer -> read_only

human -> final approval

```

runtimeを後から入れ替えても、roleとauthorityの考え方をそのまま使えます。

複数のAIへ変更範囲を分ける

```text

frontend-agent -> src/frontend/**

backend-agent -> src/backend/**

```

のように担当範囲を宣言しておけば、Task側のscopeが割当roleの範囲から外れた時点で止められます。

Handoffの前提を確認する

AI-AからAI-Bへ仕事を渡すときは、Task ID、objective、from/to role、statusなどを含むhandoff documentも検査できます。

長いチャット履歴だけに頼らず、「何を、誰から誰へ渡したことにするのか」をデータとして残せます。

まず5分だけ試す

最初はGitHubのstarter exampleをそのまま動かすのが早いです。Node.js 22.5以上を使います。

```sh

git clone https://github.com/suirindo/agent-role-contracts.git

cd agent-role-contracts

git checkout v0.1.0

node bin/agent-role-contracts.mjs validate \

--bundle examples/starter-bundle.json

node bin/agent-role-contracts.mjs explain \

--bundle examples/starter-bundle.json \

--task examples/starter-task.json \

--format text

```

次に、わざとscopeを外したTaskを渡します。

```sh

node bin/agent-role-contracts.mjs explain \

--bundle examples/starter-bundle.json \

--task examples/starter-task-outside-scope.json \

--format text

```

こちらは `TASK_WRITE_SCOPE_OUTSIDE_AUTHORITY` で失敗します。

自分のプロジェクトへ組み込む段階ではnpmから入れられます。

```sh

npm install @netsujo/agent-role-contracts

```

PASSが意味する範囲

Agent Role ContractsのPASSは、実行許可証ではありません。

確認した宣言の中で、そのcommandが扱う種類の矛盾を検出しなかった、という結果です。runtimeの権限強制、本人確認、コードの正しさ、秘密情報の検査、mergeやdeployの承認まで含みません。

`validate`、`explain`、`handoff` は入力が違うため、確認できる範囲も違います。Handoffを確認したい場合は、handoff documentを渡して `handoff` commandを実行します。

この境界を狭く保っている点は、実務では扱いやすさにつながります。「何を確認したのか」と「まだ確認していないこと」を分けて次のGateへ渡せるからです。

コミュニティで話したことを、動かせる形へ

みやこでITでは、AIエージェント実践LT会などを通じて、成功例だけでなく、どこで止まったか、どう役割を分けたか、何を人間へ残したか、といった運用の話を共有してきました。

今回のOSSも、その延長にあります。

現場で困る。仕組みにする。会社固有の部分を外す。公開できる境界を切り出す。第三者が動かし、IssueやPull Requestで返せるようにする。

技術コミュニティの共有物は、記事や登壇資料だけとは限りません。再利用できるコードまで持っていける知見なら、そこまで外へ返す価値があります。

Agent Role Contracts v0.1.0は、まだ小さなcheckerです。まずexamplesを動かし、自分のワークフローでどこに置けるか確かめてください。

試して分かったことや、止めるべきケースが足りないと感じた点は、GitHubのIssue / Pull Requestで返してもらえます。

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✍️この著者:飯田 友広

著者ページ

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