
この記事では、お寺でIT勉強会をやるとはどういうことか、なぜ続いているのか、実際の体験を交えて紹介します。
---
きっかけ: なぜお寺だったのか
始まりは2024年。既存のカフェ・コワーキングではない、「京都らしさ」を感じられる場所でもくもく会をやりたいという話でした。
いくつか候補があった中で、佛現寺のご住職に相談したところ、「本堂を使っていいですよ」と即答いただけました。住職自身が新しい取り組みに前向きで、IT・クリエイティブ領域にも関心があったことが大きな要因です。
最初の会は手探りでした。参加者は5人ほど。畳の上に座布団を敷いて、PCを膝に置いてコードを書く。奇妙な光景でしたが、誰も違和感を口にしませんでした。むしろ、「集中できる」という声が多かった。
---
実際の雰囲気
お寺でのもくもく会は、想像より静かです。
- 靴を脱いで本堂に上がる
- 好きな場所に座布団を敷く
- 自己紹介(一人1分程度)
- 各自で作業開始
- 2時間ごとに休憩&雑談
- 終わりに成果共有
お寺の本堂は木造で、天井が高く、外の音が入りにくい。エアコンの代わりに季節の空気が流れ、時折風鈴や鳥の声が聞こえます。Slackの通知音が場違いに感じるほどの静けさです。
---
お寺がもくもく会に向いている3つの理由
1.空間に力があるお寺の本堂は、何百年も「静かに考える人のために設計された場所」です。高い天井、木の梁、障子の光、畳の肌触り — 全てが集中を助ける方向に揃っています。カフェのBGMやコワーキングの話し声がない空間は、想像以上に作業効率を上げます。
2.切り替えの儀式になる自宅から電車に乗り、バス停で降り、山門をくぐり、靴を脱いで本堂に上がる — この一連の動作が、仕事モードへの切り替え儀式として機能します。リモートワークで生活と仕事が混ざりがちな人ほど、この儀式の効果を実感します。
3.写真映えするSNSでの告知や参加者の発信という観点でも、お寺はとても強い。InstagramやXに上げると「え、本当にお寺でやってるの?」という反応が必ず来ます。話題性がコミュニティを広げるエンジンになりました。
---
参加者のリアクション
初めて参加した人の感想で多いのは、以下のようなものです。
- 「普通に仕事より集中できた」 — 想定外の感想として多い
- 「畳で正座してると眠くなる」 — 座布団と椅子の両方を用意する対策済み
- 「お寺の空気でコードを書くと、妙に設計が丁寧になる気がする」 — 心境の影響
- 「海外からの参加者が一番喜ぶ」 — デジタルノマドとの共催で特に好評
特に海外のエンジニアから好評で、Digital Nomad Kyotoとの共催ではドイツ・フランス・アメリカなどから参加者が来ます。「Japanese templeでmeetup」という体験自体が強いコンテンツになります。
---
他の寺社でもやってみた
佛現寺での成功を受けて、他の場所でも試しました。
- 宏寛堂: 書道ギャラリー&カフェを併設した京町家
- たか橋: 元お茶屋の風情ある空間
- 不思議な宿: エンタメと融合した宿でAI開発合宿
- 大正大学京都アカデミア: もくもく会・生成AI勉強会の会場
それぞれ雰囲気は異なりますが、「普通ではない場所で集中する」という共通点が参加者の満足度を高めています。
---
お寺で勉強会を始めたい人へ
もし自分の地域でお寺を使った勉強会をやってみたい場合、いくつかのポイントがあります。
1. 住職に直接相談する — 若手住職や新しい取り組みに前向きな方を探す
2. 目的を明確に伝える — 「参加者が集中できる場所が欲しい」「地域とITを接続したい」
3. 礼儀を守る — 靴を脱ぐ、本堂内での飲食に注意する、写真撮影の範囲を確認する
4. 継続する意思を示す — 単発より定期開催のほうが受け入れられやすい
5. お寺側にもメリットを返す — 地域活性化、新しい人との接点、SNSでの発信など
---
まとめ: 場所が体験をつくる
コミュニティイベントにおいて、会場は単なる入れ物を超えた、体験の一部です。お寺という選択肢は、都市のコワーキングとは異なる価値を持ちます。
京都だから、お寺だから、という条件は強力ですが、他の地域でも「その土地ならでは」の場所は必ず存在します。古民家、銭湯、廃校、商店街 — 非典型の場所を活用することで、コミュニティの個性が生まれます。
もし「お寺でもくもく会」を体験してみたい方は、「みやこでIT」のconnpassで定期的に開催しています。一度京都まで来てみてください。話だけでは伝わらない空気があります。
開催の全記録と参加登録の統計は、京都ITコミュニティ白書2026に算出方法つきでまとめています。
関連記事
京都のもくもく会まとめ|お寺・町家の開催レポートと探し方
京都のもくもく会をテーマ別にたどれるハブページです。続けて参加する効果、京都のお寺や各地での開催レポート、そして参加方法の詳細記事への入口を一箇所にまとめました。一人参加・初心者歓迎で、154回運営の実績にもとづいて整理しています。
お寺×ITハブ|京都の寺院で開くIT勉強会・もくもく会
京都のお寺でIT勉強会やもくもく会を開く取り組みをまとめたハブページです。なぜ寺院がITイベント会場に向くのか、佛現寺や大光寺での実際の様子、会場がブランドになる仕組みまでを一箇所からたどれます。「みやこでIT」が京都で続けてきた実践にもとづいて整理しました。
地方ITコミュニティ運営の教訓|京都154回・626名で見えた継続のコツ【2026年版】
京都で地方ITコミュニティを7年続けた2019年から2026年の記録です。立ち上げ、オンライン化、場所による差別化、制度化の各局面で何が効いて何が効かなかったかを、年ごとに整理しました。TEMPLEモデルの定義は正本記事へ集約しています。
📚この連載:会場ストーリー
連載一覧お寺・大学・お茶屋建築など、みやこでITが活用してきた特徴的な会場の物語。
🏷️このカテゴリ:自治体・地域
カテゴリ一覧自治体・地域・補助金・お寺などとの連携事例。
お寺×ITハブ|京都の寺院で開くIT勉強会・もくもく会
京都のお寺でIT勉強会やもくもく会を開く取り組みをまとめたハブページです。なぜ寺院がITイベント会場に向くのか、佛現寺や大光寺での実際の様子、会場がブランドになる仕組みまでを一箇所からたどれます。「みやこでIT」が京都で続けてきた実践にもとづいて整理しました。
自治体がIT人材コミュニティと連携する方法 — 京都の地域実例から
京都府IT産業振興WG・大正大学京都アカデミア・京都知恵産業創造の森との連携実績から、自治体・地域団体がIT人材コミュニティと連携する形態・進め方・失敗パターンを整理しました。
京都・伏見区のITエリアガイド — 大光寺・彼方此方で広がる新しい拠点
京都市伏見区が、京都のIT新拠点になりつつある。大光寺でのもくもく会、彼方此方(京町家コワーキング)での開発イベント、伏見桃山駅周辺のコミュニティ動向を、運営7年の「みやこでIT」が現地レポート。
ITエンジニアが地方自治体と連携する方法|技術×行政の架け橋になる5ステップ・京都での実例
自治体連携は受託開発以上に広い。技術を行政と地域の文脈に接続し、小さく始めて成果につなげる方法を、京都のITエンジニアコミュニティの実践から整理します。
地方ITエンジニアのキャリア戦略|東京フルリモート・地元勤務・独立の選び方
地方ITエンジニアが年収とスキルを伸ばす実践戦略を5つに整理します。フルリモートの使い倒し方、地方コミュニティをハブにする方法、情報の遅れを自分で埋める習慣、地方発テーマの強み化、東京との二拠点設計まで、2026年時点の地方エンジニアの現実を踏まえて具体的に解説します。
京都のお寺でもくもく会を開催してみた — ITエンジニアが集中できる場所の作り方
佛現寺の本堂でノートPCを広げ、畳の上でコードを書く。京都のお寺で開催するもくもく会の魅力と、非日常空間がITエンジニアの集中力を高める理由をレポートします。
地方×Web3の実例と判断基準
「地域×Web3」で公開できるのは一般論ではなく、地域の人・場所・組織と技術者が接続した記録です。京都のITコミュニティ「みやこでIT」が一次記録として保持しているWeb3関連の活動と、地域企画で技術採用を判断するときの確認項目を整理します。
✍️この著者:みやこでIT編集部
著者ページ京都のITコミュニティ「みやこでIT」運営チームによる共同執筆・運営記事。
IBM量子コンピュータ実機でノイズとGrover探索を体験|入門シリーズ第3回
2026年7月27日、京都・五条の「不思議な宿」で量子コンピュータ入門シリーズ第3回を開催しました。超伝導・イオントラップ・中性原子・光量子の4方式を比較し、QiskitからIBM Quantum実機へ回路を送り、ベル状態のノイズとGrover探索を学んだ技術レポートです。
京都・佛現寺でみやこもくもく会#59を開催|中学生〜50代の約10名が参加
2026年7月25日、京都市中京区の佛現寺で「みやこもくもく会#59 with Digital Nomad Kyoto」を開催しました。中学生から50代まで約10名が参加し、お寺の本堂で各自の作業と世代を越えた交流を行った開催レポートです。
コミュニティサイトの検索流入、実はBingも効いていた
コミュニティサイトの検索流入はGoogleだけではありません。「みやこでIT」のGA4を2026年7月24日に実測すると、Bing経由の自然検索は直近90日で68セッション、同じ期間のGoogleの約1割にあたる規模でした。記事の公開・更新時にIndexNowで各検索エンジンへ通知する運用を導入済みの状態で観測したこの数字と、AI経由の来訪、そして「なぜ数値を公開するのか」を、因果を断定せずに記録します。
コミュニティサイトをGA4でどう測るか|「みやこでIT」の計測設計
ITコミュニティの運営サイトで、GA4を使って何をどう測ればイベント運営の判断に効くのか。「みやこでIT」が実際にサイトへ組み込んでいる計測——connpassへの送客、Discordの参加導線、記事の読了とスクロール——を、使っているコンポーネント名まで含めて公開します。7年・154回の開催を続けるコミュニティの実例です。
YARIGAIにスポンサー賞|Impact Kyoto Hackathon 2026
「みやこでIT」はImpact Kyoto Hackathon 2026にスポンサーとして参加し、チーム「YARIGAI」にスポンサー賞を贈呈しました。生成AI時代における「やりがい」と人間の価値を守るプロジェクトに共感し、1年間「みやこでIT」のイベントへ無料で参加できるご招待チケットを提供しました。
会員サイトを記事の積み上げに変えた半年で検索クリックが約11倍になった話
会員向けサイトだった「みやこでIT」を、記事を積み上げるサイトに変えて半年。2026年1月の検索クリック17を起点に6月は183へ(約11倍)、表示回数は計測開始の2025年12月比で約35倍に。指名検索に頼らず新規の来訪が増えた過程を、数字の限界も含めて正直に記録します。
勉強会協賛・共催の実例5選|採用・技術広報につなげる設計
勉強会への協賛・会場提供・共催を、採用・技術広報へどう接続するか。みやこでITの公開実例5件を、確認できた事実・期待できる価値・未計測の成果に分け、再現手順とKPIを解説します。
研究者がITエンジニアを探す方法|産学連携・PoC前の7つの接点ルート
研究成果の社会実装やPoCに必要なIT人材と、大学研究者はどこで出会えるのか。地域ITコミュニティ・産学連携イベント・登壇など7つのルートと、出会った後の関係の育て方を、京都で7年154回の運営実績を持つ「みやこでIT」が整理します。
コミュニティに参加する
京都でITエンジニア仲間を見つけたい方へ
「みやこでIT」では、京都のお寺・町家・大学などで、もくもく会や勉強会を毎月開催しています。
📊 Source data
本記事に登場する「7年・154回・626名」「お寺/町家会場での開催」等の数値は、 「みやこでIT」年次統計レポート(/community-stats) の一次データに基づきます。年別開催数・会場分布・イベント種別構成の集計を公開しています。
LM-4無料配布資料
京都のお寺でコードを書く — 「みやこでIT」参加ガイドブック2026
7年154回運営の実績から整理した、初参加を成功させる実践ガイド
対象:京都のITエンジニア・転職検討者・勉強会初参加の個人
この記事に関連する募集中イベント
8月28日(金)
【となりのAIさん】AIとの関係を持ち寄る、小さな対話会。@京都
本イベントはPeatixでも公開しています。