メインコンテンツへスキップ

地方×Web3の実例と判断基準

Web3ブロックチェーン地方創生京都
地方×Web3の実例と判断基準

「地方×Web3」という言葉は、観光、NFT、地域通貨、DAOなど幅広い企画を含みます。ただし、地域へWeb3を導入すれば課題が解決するわけではありません。この記事では、京都のITエンジニアコミュニティ「みやこでIT」が一次記録として持っているWeb3関連の活動と、地域企画で技術採用を判断するときの確認項目を整理します。

結論:公開できるのは一般論ではなく、接点の記録

Web3の可能性を広く説明する記事は、すでに数多く公開されています。コミュニティが固有に出せる価値は、そこではありません。地域の人・場所・組織と技術者が実際に接続した記録です。

そのため、この記事では次の姿勢を取ります。

  • 受賞と事業化を混同しません
  • イベントを実施したことと、自治体が技術を導入したことを分けます
  • 主催・共催・協力・登壇の役割を区別します
  • 一次記録で確認できない範囲は「確認できていない」と書きます

一次記録1:HACK+2023最優秀賞(献血支援DApp「Cycle」)

2023年4月、NPO法人NEM技術普及推進会(NEMTUS)主催のSymbolブロックチェーンハッカソン「HACK+2023」で、献血支援DApp「Cycle」が最優秀賞を受賞しました。

役割を分けて記録します。

項目記録
主催NEMTUS(NPO法人NEM技術普及推進会)
受賞2023年4月・最優秀賞
成果物献血支援DApp「Cycle」
チーム形成の起点2019年に「みやこでIT」を通じて出会ったメンバー
「みやこでIT」の役割受賞後の成果共有と、次の企画への接続

チーム形成の起点が「みやこでIT」での出会いであるため、コミュニティの参加者同士の出会いから生まれたプロジェクトとして整理します。 あわせて、その受賞後に生まれた派生活動も整理します。

対象課題は、若年層を中心とする献血率の低下です。献血行動へインセンティブを付与する仕組みを、Symbolブロックチェーン上で設計しました。開発の経緯はHACK+2023の参加レポートにあります。

実運用へ進んだか、現在どうなっているかについては、公開できる一次記録がありません。 受賞は受賞として記録し、事業化の有無はこの記事では述べません。

一次記録2:賞金を再投資した自主ハッカソン「UNKNOWN QUEST」

受賞賞金は、コミュニティ主催の自主ハッカソン「UNKNOWN QUEST」へ再投資されました。2023年7月29日〜30日にUNKNOWN KYOTOで開催し、ブロックチェーン活用アプリ開発をテーマに、前夜祭やDiscordでの事前接点まで設計しています。

外部ハッカソンで得た賞金が、地域のコミュニティ企画へ戻った事例です。運営面の設計はコミュニティ主導のハッカソン運営ガイドにまとめています。

一次記録3:Web3・ブロックチェーン勉強会の継続開催

「みやこでIT」は2022年9月からブロックチェーン領域に取り組み始め、2022年12月3日に「ブロックチェーンアプリ開発に挑戦しよう!」の第1回を京都市内で開催しました。このシリーズは2023年9月の第10回まで継続し、分散型SNSをつくって遊ぶ回、Symbol版人狼を同時開催する回など、手を動かす企画を重ねています。2023年4月には「超速習Symbol合宿」も実施しました。

2024年11月には、公益財団法人都市活力研究所・公益財団法人大阪産業局によるTech Award in Hack Osaka 2024で、一般コミュニティ部門のMVC(Most Variable Community)を受賞しています。

活動は京都の中だけで閉じていません。2024年1月には「ちじょうIT」と合同のブロックチェーン勉強会を開催し、2026年5月には韓国HashedのブートキャンプProtocol Campに参加した石田結花さんの報告会を大正大学京都アカデミアで開催しました(開催レポート)。

役割表記を区別する

自治体・大学・地域施設との企画では、主催・共催・協力・登壇を分けて書きます。イベントを実施したことと、その組織が技術を導入したことは別です。

たとえば「みやこでIT」は、重要文化財である京都府庁旧本館の旧議場でイベントを実施していますが、テーマはAIエージェントのLT会であり、Web3ではありません。会場を使わせていただいた事実と、行政がある技術を採用した事実は、まったく別の記録です(京都府庁旧議場との連携記録)。

関係区分ごとの一覧は京都ITコミュニティ白書2026に整理しています。

地域企画で技術採用を判断するときの確認項目

地域企画にブロックチェーンを使うかどうかを判断するとき、次を確認します。これは当社の運用目安であり、普遍的な正解ではありません。

1. 複数の組織が同じ台帳を必要とするか

2. トークンの保有が、実際の利用価値へつながるか

3. 高齢者や非技術者が使えるか

4. 鍵を失った場合に復旧できるか

5. 運営主体が継続するか

6. 法規制と税務へ対応できるか

7. 既存の会員データベースや決済で十分ではないか

7番目で「十分」という答えが出る企画は少なくありません。その場合、ブロックチェーンを使わない判断が合理的です。技術を起点にせず、地域の要件から選ぶ順序を推奨します。

この記事で書いていないこと

透明性のため、確認できていない範囲を明示します。

  • 「Cycle」が実運用へ進んだか、現在どのような状態か
  • 「みやこでIT」の企画が、自治体の施策としてWeb3導入につながった事例(該当する一次記録はありません)
  • 地域通貨・NFT観光などの一般的な導入効果(当コミュニティで計測していません)

これらは、一次記録を確認できた時点で追記します。

まとめ

  • 「地域×Web3」で公開できるのは、一般論ではなく接点の記録です
  • 受賞と事業化を混同せず、役割表記も分けて書きます
  • 技術採用は、地域の要件から判断します。既存の仕組みで足りる場合は使いません

Web3やブロックチェーンのテーマで手を動かす場は、イベント一覧で確認できます。初めての方は初めての方へもご覧ください。

🏷️このカテゴリ:自治体・地域

カテゴリ一覧

自治体・地域・補助金・お寺などとの連携事例。

お寺×ITハブ|京都の寺院で開くIT勉強会・もくもく会

京都のお寺でIT勉強会やもくもく会を開く取り組みをまとめたハブページです。なぜ寺院がITイベント会場に向くのか、佛現寺や大光寺での実際の様子、会場がブランドになる仕組みまでを一箇所からたどれます。「みやこでIT」が京都で続けてきた実践にもとづいて整理しました。

自治体がIT人材コミュニティと連携する方法 — 京都の地域実例から

京都府IT産業振興WG・大正大学京都アカデミア・京都知恵産業創造の森との連携実績から、自治体・地域団体がIT人材コミュニティと連携する形態・進め方・失敗パターンを整理しました。

京都・伏見区のITエリアガイド — 大光寺・彼方此方で広がる新しい拠点

京都市伏見区が、京都のIT新拠点になりつつある。大光寺でのもくもく会、彼方此方(京町家コワーキング)での開発イベント、伏見桃山駅周辺のコミュニティ動向を、運営7年の「みやこでIT」が現地レポート。

ITエンジニアが地方自治体と連携する方法|技術×行政の架け橋になる5ステップ・京都での実例

自治体連携は受託開発以上に広い。技術を行政と地域の文脈に接続し、小さく始めて成果につなげる方法を、京都のITエンジニアコミュニティの実践から整理します。

地方ITエンジニアのキャリア戦略|東京フルリモート・地元勤務・独立の選び方

地方ITエンジニアが年収とスキルを伸ばす実践戦略を5つに整理します。フルリモートの使い倒し方、地方コミュニティをハブにする方法、情報の遅れを自分で埋める習慣、地方発テーマの強み化、東京との二拠点設計まで、2026年時点の地方エンジニアの現実を踏まえて具体的に解説します。

お寺でIT勉強会 — 佛現寺で続くもくもく会

お寺でコードを書く?と思われる光景が、実は何年も続いている。京都・佛現寺でのもくもく会運営を振り返り、お寺が勉強会に向いている理由を整理する。

京都のお寺でもくもく会を開催してみた — ITエンジニアが集中できる場所の作り方

佛現寺の本堂でノートPCを広げ、畳の上でコードを書く。京都のお寺で開催するもくもく会の魅力と、非日常空間がITエンジニアの集中力を高める理由をレポートします。

✍️この著者:飯田 友広

著者ページ

京都を拠点にIT人材・企業・大学・地域をつなぐ京都のITコミュニティ「みやこでIT」を主宰。7年153回の運営からTEMPLEモデルを抽出し、地域コミュニティの実装可能性を研究しています。

京都で技術相談先を探す方法|技術顧問・CTO代行の選び方

京都の企業・研究者が技術の相談先を探すときの進め方を整理しました。契約形態を先に決めず「何を判断してほしいか」から分ける方法、相談先9種類の特徴、コミュニティにできること・できないことを解説します。「みやこでIT」と運営会社の関係も明記します。

TEMPLEモデル|社内・地域コミュニティ設計の6つの観点

京都の「みやこでIT」を7年運営した経験を、Theme・Environment・Members・Persistence・Local・Evolutionの6つの観点へ整理した仮説モデルです。当てはめれば成功する法則ではなく、続いた企画と止まった企画を振り返って、判断に使える問いへ落としました。観点ごとの確認する指標と、当てはめにくい状況までまとめています。

企業のスポンサー協賛でITコミュニティを支援する効果と進め方

採用ブランディング・技術広報の文脈でITコミュニティを協賛する企業が増えています。京都623名・7年153回の運営から、効果・連携メニュー・進め方・失敗パターンを整理しました。

自治体がIT人材コミュニティと連携する方法 — 京都の地域実例から

京都府IT産業振興WG・大正大学京都アカデミア・京都知恵産業創造の森との連携実績から、自治体・地域団体がIT人材コミュニティと連携する形態・進め方・失敗パターンを整理しました。

京都発「みやこでIT」、沖縄CODE BASE OKINAWAで出張もくもく会を開催

2026年5月6日、京都を拠点とするIT共創プラットフォーム「みやこでIT」が、沖縄県宜野湾市のCODE BASE OKINAWAで出張もくもく会を開催しました。3名の小規模試行で、京都と沖縄の地方コミュニティ接続を試みた一日のレポートです。

【ThinkIT寄稿】「みやこでIT」 7年153回の地方コミュニティ運営論

ThinkIT「イベント・セミナー2026」連載第4回として寄稿しました。7年153回のコミュニティ運営経験から、地方ITコミュニティを継続させるために大切な「集客より定着」「反復による信頼構築」「継続可能な形式」の実践知を解説しています。

みやこもくもく会#56 with Digital Nomad Kyoto開催レポート

2026年4月18日、京都・佛現寺で開催した「みやこもくもく会#56 with Digital Nomad Kyoto」のレポート。ヨガ体験と量子力学セッションの特別プログラム、転職ドラフトのクラフトビール提供など、集中と交流が自然に混ざり合う1日を振り返ります。

思考実験:「みやこでIT」の理想の在り方をポケモンから考えてみる

「みやこでITコミュニティも、ポケモンのようにしたい」。人が何度も参加したくなる構造とは何か。捕まえる・交換する・対戦するをコミュニティ運営に置き換えて考える思考実験。

コミュニティに参加する

京都でITエンジニア仲間を見つけたい方へ

「みやこでIT」では、京都のお寺・町家・大学などで、もくもく会や勉強会を毎月開催しています。

📊 Source data

本記事に登場する「7年・153回・623名」「お寺/町家会場での開催」等の数値は、 「みやこでIT」年次統計レポート(/community-stats) の一次データに基づきます。年別開催数・会場分布・イベント種別構成の集計を公開しています。

⛩️

LM-4無料配布資料

京都のお寺でコードを書く — 「みやこでIT」参加ガイドブック2026

7年153回運営の実績から整理した、初参加を成功させる実践ガイド

対象:京都のITエンジニア・転職検討者・勉強会初参加の個人

主催者が公開しているイベント告知画像(京都・下京区)注目イベント

8月21日(金)

京都でIT・AI・Web3に関わる人と、食事を囲んでゆっくり話せる交流会です。

開催時間19:00〜21:00
開催エリア京都・下京区
参加費3,000円(飲食代)
  • 初参加おすすめ
  • エンジニア