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コミュニティ主導のハッカソン運営ガイド

公開日:
みみやこでIT編集部
ハッカソンコミュニティITエンジニアブロックチェーン
参加者、共同開発、日程、発表をつなぐハッカソン運営の図解
コミュニティ主導のハッカソンとは、企業の採用広報やプロダクト販促を主目的とするものとは異なり、コミュニティ自身が「何を生み出したいか」「誰に場を開きたいか」を起点に企画・運営するハッカソンです。 参加者の学び、交流、挑戦、地域での成長機会の創出まで含めて設計される点に特徴があります。

「みやこでIT」が2023年に開催した「UNKNOWN QUEST」は、その典型例です。ブロックチェーンを活用したアプリケーション開発をテーマに、京都で立ち上げたハッカソンでした。開催日は2023年7月29日〜30日、会場はUNKNOWN KYOTOでした。

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この記事が示す範囲

以下に書いているのは、2023年の企画・募集時点で決めた設計です。テーマ、対象者、支援内容、審査・表彰、権利、費用負担、日程は、当時の募集条件と運営設計にあたります。

実際の参加者数、チーム数、完成した制作物、主催側が負担した費用と工数、計画と実施の差は、この記事では確認していません。 募集条件や予定表を、そのまま実績値として読まないでください。

金額(賞金・会場費の扱い)も2023年時点の設計です。現在の会場料金ではありません。

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なぜこのハッカソンを開催したのか

NPO法人NEM技術普及推進会NEMTUS主催のハッカソンで、2019年に「みやこでIT」を通じて出会ったメンバーが結成したチームが優勝し、そこで得た賞金を「次の挑戦機会をつくる」ために再投資した結果、このイベントが生まれました(詳細はHACK+2023の記録)。

外部から与えられたテーマを処理する場ではありません。コミュニティが自ら賞金を再投資して、次の挑戦機会をつくった場です。

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企画骨子

ゴールは「ブロックチェーンを活用した、社会に役立つアプリを作る」こと。将来的に社会実装や事業化まで視野に入る成果物を目指しました。

参加者全員にはアイデアリストを公開・共有。技術はあるが発想の起点で止まりやすい人を前に進めるための仕掛けです。

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テーマ設計のポイント

成果物としてブロックチェーンを活用したアプリケーションを求めました。基盤はSymbolであれば技術サポートを受けられる一方、他ブロックチェーンでも可。メインネットかテストネットかも問いませんでした。

この条件設定が重要です。テーマを絞りつつ、技術選択の自由を残しています。

  • 何を作ってもよいわけではない
  • 特定技術への強制でもない
  • Symbolを選べば支援が厚くなる
  • 他チェーン勢も排除しない

ハッカソンのテーマ設定で「自由」を掲げる運営は多いですが、それは成果物のレベルコントロールが難しくなります。必要なのは前進しやすい制約条件の設計です。

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参加対象者の設計

対象者はエンジニア、デザイナー、プランナーと明記。個人参加については自身でアプリ実装ができることが望ましいと記載しました。

実装が前提のハッカソンである以上、個人参加者に完全初心者まで無制限に開くと、当日の運営負荷が爆発します。歓迎はするが、期待値も明示するという姿勢です。

曖昧さは優しさのように見えて、実際には残酷です。参加者が「自分でもいけるかも」と誤認して来場し、場に馴染めず終わるほうがダメージが大きい。運営は何が求められるかを先に言う責任があります。

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支援設計

参加者への支援は比較的具体的でした。

  • アイデアリストの共有
  • Symbol基盤であればコミュニティメンバーが技術サポート
  • 参考資料「速習Symbolブロックチェーン」等を提示
  • 実装補助ライブラリ(tusnagi-functions)の紹介

つまり、「頑張ってください」で放り出すイベントではありません。アイデアの起点・技術選定の方向性・学習資料・技術相談先・実装補助を揃えていました。

参加者が最後まで走り切れる構造をつくることがハッカソンの目的です。

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審査・表彰の設計

最優秀賞の特典は賞金10万円相当のXYM、BAR KRYPTO 1日入店権・1日店長権、awabar okinawaのボトル1本無料。

金額だけの設計ではありません。コミュニティ文脈の中で意味を持つ特典が組み合わされています。何を評価し、どのコミュニティに接続したいのかが、賞の中にも表現されています。

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権利と費用の明示

成果物の権利は「すべて応募者に帰属」と明示。イベント参加は無料、会場利用料は参加者負担(UNKNOWN KYOTOのコワーキング料金を参考提示)。

ハッカソン運営では以下を曖昧にしてはいけません。

  • 成果物の権利は誰に帰属するか
  • 主催者は後日利用権を持つのか
  • 費用のうちどこまでが主催負担か

UNKNOWN QUESTは完全無料に逃げず、現実のコストをきちんと示しています。

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日程設計 — 関係性を先に設計する

  • 6月上旬: 告知開始
  • 7月上旬: Discord招待、自己紹介とアイデア共有
  • 7月28日: 前夜祭(BAR KRYPTO)
  • 7月29日10:00〜19:00: 開会式・チームビルディング・開発
  • 7月30日10:00〜15:00: プレゼン・審査・交流会
本番前にDiscordと前夜祭を挟んでいることが大きなポイントです。ハッカソンは当日に初対面で集まると初動でつまずくケースが多い。UNKNOWN QUESTはオンラインで先に接点をつくり、前夜祭で心理的距離を縮め、当日はすぐ開発に入れる構造にしていました。

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会場選定

会場はUNKNOWN KYOTO。宿泊も案内されていました。

コミュニティイベントにおいて、会場それ自体がメッセージになります。京都らしいローカル性、滞在しながら開発する非日常感、交流と制作が混ざる空気を同時に生み出しています。

会場選定ではアクセス、開発適性、滞在性、世界観の4点を見ることが重要です。

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審査員・スポンサー・後援

審査員として近藤淳也さん、MIYAさん、荒川大晴さん、後藤博之さんにご協力いただきました。スポンサーは株式会社Opening Line、XEMBook、awabar okinawa。後援は一般社団法人京都知恵産業創造の森。

コミュニティ主導イベントは、放っておくと「身内の集まり」に見えます。その印象を越えるには、外部から見てわかる支援者、テーマと整合する専門家、参加者が安心できる後ろ盾が必要です。

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コミュニティ主導ハッカソンの実務ポイント

1. 開催理由を言語化する — 「なぜ今やるのか」が弱いと、すべてが薄くなる

2. テーマは広げすぎない — 軸を置きつつ、選択の自由を一定残す

3. 参加者の初速を上げる — アイデアリスト、Discord、前夜祭、技術資料の4つで初動の詰まりを潰す

4. 技術支援をイベント設計に組み込む — メンターや相談窓口がなければ途中で止まる

5. 権利と費用を曖昧にしない — 成果物の権利帰属、参加費、会場費を事前明示

6. コミュニティらしい賞を設計する — 関係性の中で意味を持つ特典を組み込む

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まとめ

UNKNOWN QUESTは、コミュニティ主導ハッカソンの実例です。主催動機が明確で、テーマ設定に無理がなく、アイデア支援と技術支援があり、前夜祭から交流会まで関係性の設計が入っており、権利や費用も参加者に開示されていました。

ハッカソン運営で本当に問われるのは、参加者が挑戦しやすく、走り切りやすく、次につながる場をつくれるかです。

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